都会と田舎のご近所さん

昨年秋から、岩手県で一人田舎暮らしを始めた父
父は「横浜から来た奈良さん」ということで、町では結構有名人です。
小さな町(行政単位は町なのですが、雰囲気は村です)なので、東京からの移住者は何かと注目されます。
その流れで、有名人の娘である私も、なぜかちょこっと注目されてしまいます。

私が到着する前から、「奈良さんちの娘が来るらしい」ということは、すでにご近所さんにも話がまわっているとのこと。
であればきちんとご挨拶をしなくては、ということで、父が普段からお世話になっている何件かのお宅に、1件ずつ、ご挨拶に伺いました。
皆さん、暖かく迎えてくださり、ときには野菜をお土産に持たせてくださったりします。
もう暗くなりかけている時間だったにもかかわらず、わざわざ畑に入って、キャベツをとってきてくださった方もいました。

驚いたのは、父がずいぶんきちんと「ご近所づきあい」をしているということ。

「あの家の息子さんは、仙台に行っている」
「あちらのお嬢さんは福祉関係の仕事をしている」
などなど、すべてのご近所さんのひととおりの家族構成などの情報はすべて把握してました。
20年以上住んだ横浜では、近所の家の子供のことなんて、全然興味無さそうだったのに。

また、地域のお祭りや行事などにも積極的に参加している様子。
ご近所さんとの交流も多くあるようです。

よそ者で田舎暮らし1年生。
ご近所の皆さんに、生活の仕方、野菜の育て方、田植えの仕方・・・などなど、いろいろなことを教えてもらいながら、暮らしているようでした。
高齢化が進む村の中では、60過ぎて移り住んだ父もまだまだ「若者」。
農作業の人手不足で困っているご近所の方をお手伝いすることで、お役に立っていることもあるみたいでした。
ご近所さんとの関わりが深いという点は、いろんな意味で非常に心強いなーと思う反面、都会暮らしに慣れている私としては、「こりゃ、悪いことできないな〜」みたいな窮屈さも、少しあるかもしれません。

ところかわって、東京港区。
私の住んでいるマンションは、小規模でこじんまりとしているので、ある程度のおうちの方のお名前と顔は一致するようになりましたが、家族構成、お仕事の内容などはほとんど知りません。
ときどき、総会の後に懇親会をやったりもする、比較的仲の良い小規模マンションですらこんな感じですから、タワーマンション、大規模マンションになると、お隣さんの顔もよく分からない、なんてこともあるでしょう。
以前、お隣さんから「田舎から送られてきた梨」をいただいたことあって、こんな都会のマンションでも、そういうやりとりがあるんだー!と感激したのを覚えています。
今回は、そのお礼も兼ねて、田舎暮らし体験の中で大量にGETしたじゃがいもを、お隣さんに差し上げてみました!
どうも、ご近所付き合いになれていないので、「いもなんて要らないかしら」「こんなに食べられないかな?」などと考えてしまい、緊張しました。
もっと普通にスマートに、ご近所付き合いができるようになりたいものです。